
昨今ではアルコール消毒などを目にする機会も増えましたよね。
天然石のジュエリーなどを身につけている場合、「アルコール消毒をしても大丈夫なのかな?」と心配になることもあると思います。
そこで今回はアルコールに注意したい天然石についてまとめてみました。
水との違いやクラックについても触れているので参考にしてください!
- アルコールに弱い天然石の種類がわかる
- 水とアルコールとの違いがわかる
- クラックのある天然石を扱うときの注意点がわかる
目次
アルコールに弱い天然石
天然石の中にはアルコールに弱いものも存在します。
そのためアルコール消毒などを行うときは天然石にかかることのないよう注意する必要があります。
有機質の天然石
まず注意したいのが有機質の天然石です。有機質の天然石は、真珠や珊瑚などの生物が長い年月をかけて作り出す宝石のことを指します。そのため、鉱物よりも繊細で弱いものが多いのが特徴です。
これらは水も避けるべきものなのですが、アルコールや中性洗剤なども避けた方がよいとされています。
【パール(真珠)】
真珠は、日本人女性の爪の厚さの1000分の1ほどの非常に薄い炭酸カルシウムが1000層以上も重なってできる天然石です。また、その層と層の間は、コンキオリンと呼ばれるたんぱく質の層が接着剤の役割を果たしています。このコンキオリンに色素などが含まれており、真珠の色を出しています。
しかし、このコンキオリンはアルコールに触れると変質したり溶けてしまったりする性質があります。そのため、真珠にアルコールをつけると、真珠の特徴ともいえる光沢を失う原因となることや、変色してしまい本来の美しさを感じられなくなることが想定されます。また、自然に算出された真珠の9割は表面加工をして光沢をつけたり発色させたりしているため、これらの表面加工がアルコールによって損なわれてしまう可能性もあります。
【アンバー(琥珀)】
琥珀は、3000万年以上前の植物の樹液が地中で化石となった、植物から生まれた唯一の宝石です。そのため、樹脂でできている琥珀は天然石の中でも非常に柔らかく傷つきやすいものですから、アルコール消毒の際はそっと避けておくほうが安心でしょう。ただし、有機質の天然石の中では、比較的アルコールには強いとされています。
【コーラル(珊瑚)】
珊瑚は酸や油脂、熱に弱い繊細な天然石です。また、有機質であるのと同時に、次に紹介する多孔質の天然石であるという特徴もあります。当然アルコールにも弱いですから必ず触れさせないようにしましょう。アルコールの他にも、家庭で日常的に使用するような家庭用洗剤やマニキュア除光液なども珊瑚を損傷させてしまうので、注意してください。
珊瑚の主成分は、炭酸カルシウムです。炭酸カルシウムそのものはアルコール(エタノール)に溶けにくい物質ですが、珊瑚を宝石として使用する際に用いられる表面加工がアルコールで損傷されてしまいます。手指の消毒でアルコールを使用する際などは、珊瑚につかないように気を付けましょう。
多孔質の天然石
多孔質の天然石は、細かく開いた穴(孔)の中に液体が入りやすいことから、酸などの影響を受けやすいと言われています。
そのためアルコールへの接触も避けておくほうがよいでしょう。一見するとつるつるの石でも、スポンジのようにしみこんでしまい、劣化が進んでいってしまいます。
【オパール(蛋白石)】
熱にも弱いオパールですが、水分にも弱く変色の原因になることがあります。美しい光沢が損なわれてしまうのでアルコールへの接触は避けましょう。
特に、エチオピアで産出されるオパールは、ハイドロフェンオパールと呼ばれることがあります。「ハイドロ」(hydro-)とは「水」を指し、「フェン」(-phane)は「~と性質が似た」という意味があります。このハイドロフェンオパールは水につけると変色するという性質があります。そのため、水よりも刺激の強いアルコールにつけると、更にその反応が進んでしまうことになります。
【ターコイズ(トルコ石)】
トルコ石は汗でも変色する可能性のあるものですので、当然アルコールもNG。
水が染みこみやすいのでトルコ石のアクセサリーなどを身につけている場合は必ず外してください。また、トルコ石は加工時に樹脂含浸処理をしているものが多く、それらの場合は樹脂がアルコールで溶けてしまうことがあります。すると、変色だけでなくトルコ石の表面が崩れやすくなったり、割れてしまったりする可能性もあります。
更に、加工時に色を付けている場合もあり、アルコールでその色が落ちてしまうこともあります。
【ラピスラズリ(瑠璃)】
とても柔らかく塩酸などによりゼラチン化してしまうラピスラズリは非常に繊細な天然石です。
多様な成分の含まれていることのあるアルコール消毒などは避けましょう。ラピスラズリはしばしば着色のために染料を使用することがあり、この成分がアルコールで溶けてしまう可能性があります。そのため、アルコールでふき取ったことで色が落ちてしまうということもよくあります。
また、多孔質の性質があるため、アルコールが内部までしみこんでしまって変質する危険もありますので、十分に注意することが大切です。
【マラカイト(孔雀石)】
マラカイトもアルコールにより影響を受けてしまう可能性の高い宝石の1つ。アルコールに限らず水分そのものを避けた方がよいものと言えるでしょう。
マラカイトをアルコールにつけると、細かなクラック(ひび割れ)が入ってしまうことがあります。これは、マラカイトを構成する炭酸イオン(CO32-)と水酸化物イオン(OH-)が反応して、マラカイト内部から二酸化炭素(CO2)と水蒸気(H2O)が抜けてしまうためです。
【アゲート(瑪瑙)】
アゲートは、硬度そのものは天然石の中でも固い方ですが、多孔質であるという性質から加工がしやすく、人工的な着色もしばしば行われています。アルコールにつけると、表面状態が劣化してしまうほか、着色料が落ちて変色してしまう可能性もあります。
また、アゲートの中心部は空洞になっていることがあり、アルコールが表面の穴から入り込んで中心部にたまってしまうと、そこから劣化が進んでしまう可能性もあるため、注意が必要です。
処理されている天然石
天然石には処理が施され一般に流通しているものも多くあります。
このようなものもアルコールにより影響を受ける可能性があるため避けておいたほうが無難でしょう。
【エメラルド(翠玉)】
エメラルドは、元々インクルージョンが多いこともあり含浸処理が施されていることが多くあります。これは亀裂を埋めるための処理ですが、水分自体に弱い可能性があるため避けておいたほうがいいでしょう。
また、加工時に着色がなされていることもあり、アルコール浸漬によりその色が落ちてしまうことがあります。エメラルドそのものは薬液への耐性は弱くありませんが、加工時に使用する成分がアルコールに溶けて揮発してしまうことで、結果的にエメラルドの表面が粗くなり、クラックなどが入る結果に陥ってしまうこともあるので、ぜひ気を付けてくださいね。
【ジェイダイト(翡翠)】
翡翠の魅力としてその見た目が評価されることも多いですが、光沢をよく見せるためワックス処理が施されていることがあります。
こちらもアルコールは避けておいたほうがよい処理になります。ワックスとアルコールとの相性はあまりよくないため、ワックスを使用している天然石をアルコールに触れる状態にするのは止めた方がよさそうです。多孔質の天然石に共通することですが、水への耐性をつけるためにワックス処理や含浸処理をしている天然石は多く、いずれもアルコールに弱いので、多孔質の天然石を身に着けるときは、アルコールには十分注意するようにしましょう。
消毒用アルコールだけでなく、香水も盲点になるので、気を付けてくださいね。
【オニキス(黒瑪瑙)】
オニキスは薬品、汗や皮脂といったものにも弱い宝石です。
その上漆黒にするため染料を施されたものも多いですから、アルコールは避けるようにしましょう。上で紹介したアゲート(瑪瑙)の一つでもあります。
アゲートは多孔質の天然石ですが、その中でも平行に縞模様が成長したものをオニキスと呼びます。これは、アゲートの耐性の低さに加えて平行縞に沿ってアルコールがなじんでしまう傾向にあるため、やはりアルコールがある環境では直接付着しないように気を付ける必要があるでしょう。
【カルセドニー(玉髄)】
カルセドニーはとても染めやすい性質を持つ石です。
そのため着色処理がされていることも多く、アルコールは避けておくに越したことはありません。カルセドニーの染料にアルコールが直接付着すると、その箇所だけ色落ちしてしまうことがありますので、くれぐれもカルセドニーを身に着けたままアルコール消毒などをしないように注意してくださいね。カルセドニーの場合は、一度脱色した後で着色が表面のみに施されていることも多く、染料が落ちてしまうと元の色も失われてしまいかねません。
アルコールと水の違い
アルコールに弱い天然石をご紹介してきましたが、アルコールと水は違います。
私たちが日常的に使用している水は、必要以上に警戒するような要素は基本的にありません。
もちろん水に弱い天然石に触れさせるようなことはあってはならないのですが、水そのものに特別刺激の強い成分や有害な成分が含まれているわけでないことはなんとなく分かりますよね。
一方でアルコールはものによって含まれている成分が違います。
よく見かけるアルコール消毒液なども含まれている成分表示はそれぞれ異なりますが、一般的にアルコールと呼ばれるものは、エタノールを指していることが多いです。
人によってはアルコールで肌が荒れたりすることもあるなど、水と比べると刺激の強いものになります。
元々繊細な天然石はもちろん、施されている加工などもアルコールに影響を受けることは十分考えられます。
水分に弱いものに関しては水にも気をつけるべきと言えますが、アルコールに関してはその他の要素でも警戒すべき点があるといえるでしょう。
また、万一天然石をアルコールにつけてしまった場合は、石鹸などを使用せずに、早めに水もしくはぬるま湯で洗い流すようにしましょう。石鹸には界面活性剤が含まれているため。アルコールによる影響以上に劣化を進めてしまうことがあります。
天然石はクラックにも注意
天然石にはクラックと呼ばれる“ヒビ”のようなものが入ったものも多くあります。
基本的にはないほうが良いですが、天然石によってはこれが魅力とされ評価されているものもあります。
ただその一方で耐久性という面では少し弱いこともあり、その扱いには注意が必要となってきます。
加工されていることもありますし、アルコール消毒などを行う際には気にかけておきたい点の1つでしょう。アルコールがクラックの中に入り込むと、内部から損傷が始まってしまう場合もあります。
美しい天然石には昨今当たり前となってきているアルコール消毒との相性が微妙なものもありますから、ジュエリーなどを身につけている場合は外してから行うなど日頃から注意しておきましょう。