産地が極めて限られる希少な青い宝石、ベニトアイトとは

「ベニトアイトってどんな宝石?」

「ベニトアイトの美しさの秘密は?」

「マツコの知らない世界で取り上げられたのは本当?」

ベニトアイトは青や紫を基調とした宝石で、透明なものは虹色に輝くファイアを放ちます。

今回はベニトアイトの特徴や価値、取り扱い方法、ベニトアイトにまつわるエピソードなどについて紹介します。

この記事を読んで分かること
  • ベニトアイトの特徴がわかる
  • ベニトアイトの価値や取り扱い方法がわかる
  • ベニトアイトのエピソードを知れる

ベニトアイトとは

ベニトアイトの原石

ベニトアイトはアメリカのサン・ベニトというごく限られた場所で発見された貴重な天然石です。

いったい、ベニトアイトとはどのような宝石なのでしょうか。

ベニトアイトの基本情報や特徴についてまとめます。

ベニトアイトの基本情報

宝石名 ベニトアイト
和名 ベニト石
英名 Benitoite
比重 3.64 - 3.68
硬度 6 - 6.5
主な産地 アメリカ・カリフォルニア州
誕生石 制定されていない
比較的強い
日光 比較的(高温は避ける)

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ベニトアイトは産地が極めて限られた宝石です。

1907年にアメリカ・カリフォルニア州サンベニト郡ではじめて発見されたベニトアイトは透明感があり、青く美しい宝石で、発見当初はサファイアと考えられていました。のちに、サファイアとは別の石であり希少性でいえば最上級のサファイア以上に珍しい意志であることがわかりました。

ベニトアイトがサファイアと別の鉱石だと判別したのはカリフォルニア大学・バークレイ校のラウダーバック博士です。現地を訪れたラウダーバック博士は発見された地であるサン・ベニト郡の名から、新しい鉱石の名を「ベニトアイト」と名付けます。ベニトアイトはその美しさと希少価値から、ベニトアイトはカリフォルニア州の「州宝石(ステイツストーン)となりました。

ベニトアイトの特徴

 

ベニトアイトのルース

ベニトアイトの一番の特徴は分散度の高さです。分散度とは光が宝石を通り抜ける際に光が分散する度合いのことで、分散度が高いと宝石はキラキラと輝きます。ベニトアイトの分散度は0.044。これはダイヤモンドの分散度の0.04に匹敵するものであり、ベニトアイトがダイヤモンドのように煌めくことを意味します。これだけ分散度が高いと、少しの光を当てただけでもまばゆい輝きを放ちます。

ベニトアイトのように分散度が高い宝石は「ファイア」という独特の輝きを放ちます。ファイアは宝石に当たった光が内部で分散し、虹色に輝く現象のことです。ベニトアイトの色はカラーレス(透明)なものから濃い青や紫のものまであります。濃い鮮やかな青はロイヤルブルーのような色合いで、スリランカ産のサファイアの色に似ています。淡い色のものはブルーダイヤモンドのようにも見えます。

多彩なベニトアイトですが、美しいファイアが見られるのはカラーレスのベニトアイトです。宝石の中に不純物(インクルージュン)が少ないベニトアイトは非常に強い輝きを放つので人気です。特に、宝石として加工する際にファセットカット(宝石の表面に角度の違う多数の切子面を持たせるカット方法)を施したものは格別の輝きを見せます。

ベニトアイトになかにはオレンジやピンクのものもありますが、これらの色は加熱処理によってつけられたものです。

ベニトアイトのもう一つの特徴はバイカラーの宝石であることです。バイカラーとは1つの宝石の中に2種類の色が入っている状態のもので、ベニトアイトにもバイカラーのものがあります。ベニトアイトのバイカラーは主に濃い青と淡い青・紫の2色ですので、バイカラーのベニトアイトなら、青と紫の色合いが楽しめます。

ベニトアイトの石言葉

希望の白い鳥

石言葉とは花言葉のように、それぞれの石に与えられた象徴的な意味合いのことです。

ベニトアイトの石言葉は「気品」「希望」「成功」「高貴」であり、どの言葉もポジティブな意味合いを持ちます。前向きさや高貴さの象徴と考えられていることがわかります。ベニトアイトの持つ美しい輝きが希望や成功を、ベニトアイトの希少性が気品や高貴さに結びついているのかもしれません。いずれにせよ、かなりプラスの意味が込められているのは間違いないといえるでしょう。

ベニトアイトの産地


ベニトアイトはカリフォルニア州サンノゼの南にあるサンベニト郡のディアブロ鉱山でのみ産出する宝石です。ディアブロとはスペイン語で悪魔を意味する語です。スペイン語が用いられているのは、かつて、カリフォルニア州一帯がメキシコの領土だったからです。1846年~1848年に起きたアメリカ=メキシコ戦争(米墨戦争)でメキシコが敗北。敗れたメキシコはカリフォルニア州からニューメキシコ州までの領土240万平方キロメートルをアメリカに割譲しました。その名残で、今でもこの地域にはスペイン語の地名が数多く残されています。サンフランシスコやロサンゼルス、サンディエゴ、サンタフェといった日本人にとってもなじみのある地名の多くがスペイン語に由来します。

ベニトアイトの価値

ベニトアイトのルース

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ベニトアイトは非常に希少価値が高い宝石です。

 

なぜなら、唯一の産地であるサンベニト郡のディアブロ鉱山が2005年に閉山し、新たな鉱石が手に入らない状態だからです。

ベニトアイトが発見されたのは1907年ですのでわずか100年ほどしか採掘されなかったことになります。そのため、市場に出回っているベニトアイトは非常に少ないのが現状です。

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2022年6月、アメリカに宝石を仕入れにいきましたが、アメリカ産の宝石であるにもかかわらず、ベニトアイトを展示している業者は一つもありませんでした。

加えて、ベニトアイトは非常に人気のある宝石です。ダイヤモンド並みの輝きを有し、光を当てた時には虹色に輝くからです。しかも、バイカラーのベニトアイトまであります。コレクターからすると喉から手が出るほど欲しい希少な石ですので、今後は価値が上昇する可能性が高いでしょう。

ベニトアイトは産出量が少ないだけではなく、小粒のものが大半であるという特徴もあります。それゆえ、市場に出回っている多くのベニトアイトは1カラット未満のものです。1カラット以上のベニトアイトとなると、カッティング次第ですが100万円を超えるものも出てきます。産出量、希少性、大きさどれをとっても価値が高い宝石だといえます。

ベニトアイトの取り扱い方法

ベニトアイトのモース硬度は6~6.5です。

モース硬度6~6.5はムーンストーンとほぼ同じ程度であり、久歯のエナメル質とほぼ同じです。鉱石としては決して硬い方ではありませんので、アメジストやエメラルド、サファイア、ダイヤモンドといった宝石と同じ袋に入れてしまうと傷がついてしまいます。他の宝石と一緒にせず、別個に保管しましょう。

特定の方向に割れやすい劈開性は持たないとされていますが、硬度が決して高くないため衝撃を与えないよう、布で優しくふき取るとよいでしょう。ただし、砂の中に含まれている石英は硬度7ですので、砂埃が舞うような場所にあると傷がつく恐れがあります。そのような場所にはなるべく持ち出さず、外で身に付けた後は水洗いして、砂がついていないことを確認してから布でふき取りましょう。

また、メガネの洗浄などに用いる超音波洗浄機は石の破損につながるのでベニトアイトの洗浄には用いないでください。

ベニトアイトのエピソード

ベニトアイトのルース

ベニトアイトには希少性以外にも様々なエピソードがあります。その中から、今回は3つのエピソードを紹介します。

「マツコの知らない世界」で紹介

2019年9月17日に放送された「マツコの知らない世界」でベニトアイトが紹介されました。紹介してくれたのは宝石商のカピル・ミタルさん。独特の語り口で人気のある出演者の一人です。番組ではベニトアイトがどんな宝石か、ディアブロ鉱山の閉山で流通量が減ること、光の反射が素晴らしいことなどをカピルさんが力説。マツコが思わず「押されそうになる」というほどでした。

紹介されていたベニトアイトは2.7カラットで1,200万円の高額なもの。この価格を見てしまうと、その後に出てきたトルマリンの28万円が安価に思えてしまいます。ほかにもレッドダイヤモンドなど貴重な宝石を紹介していたこの回の放送は宝石好きから見てとても楽しめる回でした。

ベニトアイトは紫外線をあてると発光する

ベニトアイトには紫外線を当てると発光するという性質があります。

紫外線と一口に言っても、波長によって長波紫外線や短波紫外線などと区別できます。ベニトアイトを発光させるのは短波紫外線です。遊園地などで手に押されるスタンプを浮き上がらせる一般的なブラックライトは長波紫外線ですので、ベニトアイトにあてても発光しません。ただし、ベニトアイトを発光させるような短波紫外線は人体にとってかなり危険なものです。短波紫外線を発する道具があったとしても、決して人に向けるようなことはしないでください。

ベニトアイトは日本でも見つかる?

ベニトアイトは、実は日本でも発見できます。

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新潟県糸魚川市や東京都奥多摩町で発見されたことがあるのです。

しかし、いずれもディアブロ鉱山のような宝石質の輝きを持つものではありません。

身に着けるためのパワーストーンなどとして保有する分にはよいですが、日本で宝石としてのベニトアイトが見つかることはなさそうです。ちなみに、糸魚川市は良質なヒスイの産地としても知られています。ヒスイは昔から力のある石とされ、日本では勾玉などの装身具として加工されました。

まとめ

ベニトアイトのリング

今回はアメリカ3大希少石の一つとされるベニトアイトについて紹介しました。ベニトアイトは産地が限られ、ダイヤモンド並みに煌めくことからコレクターの間で非常に人気があります。採掘される鉱石は小さく、1カラット以上のベニトアイトは高額で取引されます。唯一の産地だったディアブロ鉱山が閉山したため、今後はお金を出しても買えない宝石になるかもしれません。虹色に輝くファイアを発するベニトアイトは、今後も多くの人を魅了し続けるのではないでしょうか。

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